前回は問1の解説を行いましたが、次は問2をやっていきます。
bananarian.hatenablog.com
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2017年 統計検定1級 統計数理 問2 対策用解説 を始めていきます。
問2の概要
まず、問2のセットアップから確認します。
要は一様分布ですね。
なんだ、一様分布なら簡単そうじゃないか!!と思いきや、意外と詰まった受験生もいらっしゃったのではないかなあと思います。
意外と盲点になるところですが、一様分布の同時分布における最尤推定量って思考停止でやろうとすると、おかしなことになるんですね。
問2[1]
これ、詰まった人いるんじゃないですかねえ。どうでしょうか。
一様分布のパラメータにおける最尤推定量に関する問題ですね。
色々考え方はありますが、今回はKKT条件を使って解いてみようかと思います。
KKT条件については前に書いた下の記事の真ん中あたりにあるので参考にしてみてください。
bananarian.hatenablog.com
まず、計画問題を考えることにします。今回は、独立に一様分布に従っていることから同時分布は次のようになります。
しかし、ここで一つ問題があって、得られた全てのは
でなければならないという制約が発生します。そこで次のように考えます。
...
ということは結局、だということ!!
つまり、制約としてが存在します。
以上より計画問題は次のようになります。
目的 を最大化する
制約
別にこの作業はしてもしなくてもどっちでもいいんですが、目的の見方を変えると、
を最小化する
と見ることもできますね。
ここまで来たらもう難しくありません。ラグランジュ乗数を用意してやり、次のようなラグランジュ関数
を考えます。
このラグランジュ関数は、KKT条件より、次の制約を満たす必要があります。
…①
…②
…③
まず、②についてですが、
②⇔
ですね。
更に①は
①⇔
であり、であることに注意すると、
ですね。
であることがわかったので、これを考慮した上で③をみてやると、
は成り立ちませんよね。よって
です。
つまりの最尤推定量
は
となります。
問2[2]
[2]いきます。
まず、の期待値を出せないとお話にならないので出してみましょう。
不偏推定量であることが確認できました。
問2[3]
順序統計量に関する密度関数の問題です。
は要はこういう状況ですよね。
つまりの分布関数を
とおくこととすると、
の分布関数
は次のようになりますね。
これを微分してやれば密度関数が出てきますね。ただその前にを求めておきましょう。
次にの期待値を求めてみます。
以上より、
問2[4]
最後ですね。[2]と[3]で2種類のに関する不偏推定量を導きました。
しかし、その中でもより分散の小さい推定量、つまり有効推定量であることが重要でした。
分散ですが、普通に分散の定義に従っても良いのですが、ちょっと面倒なので次の公式を利用します。導出は容易なので省略します。
つまり、と
よって、分散は
更に各推定量の分散は次のようになりますね。
をどんどん大きくしていった時に、
の分散の方が早く0になるのはわかりますか?
更にもう少し考えてみると
これはより、常に正です。
よって
の方がより効率的な推定量であることが分かりました!
よって、どちらの推定量,
であっても不偏性、効率性はありますが、
が有効性の点で優れているため、良い推定量であるといえます。
次回は問3についてやります。
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統計検定1級 解説 数理 統計数理 2017年 解答