前回までの記事で、ファンダメンタル分析の一つとして、株式価値の評価方法について確認しました。
bananarian.hatenablog.com
しかし、投資において評価すべき項目は株式価値だけではありません。今回はよく使われる指標であるPERとPBRの話をしようと思います。
PER
PERは次の式で求まります。
これは、要は株を振り出すことによって得られた資金を、何回分の利益で回収できるかを表します。
このPERの値が小さい方が、株を振り出すことで得られた資金をうまく使えているという意味で、優れた経営を行っていると言うことが出来ますので、PERが小さい場合は一般に買い時と言われています。
※ただし、この論理は(1株あたり当期純利益)>0でないと成り立たないことに注意してください。
PBR
一方PBRは次の式から求まります。
こちらは、株価が純資産に対してどれくらいの割合を占めているかを表していますが、これは次の意味合いから、株式の価値指標となっています。
株主の権利の一つに残余財産分配請求権というのがあることをご存知でしょうか。これは、もし企業が解散したら、企業が持っていた資産を株主が山分け出来るという権利です。
野村證券 | 残余財産分配請求権(証券用語解説集)
つまり、ザックリこのPBRについて説明してしまうと、もし今この瞬間企業が解散したとしたら、自分の取り分はいくらかという指標になるわけです。
ということは、単純に考えて、もしだとしたら、明らかにこれって株式の過小評価になりますよね。
よって、この過小評価されている時が買い時です。
※当然例外はあります
株式が過小評価されている時に買っておいて、適正水準に戻った時に売るというのがアノマリーを利用した株取引であるというのは前の記事で確認しましたよね。
bananarian.hatenablog.com
PERは実際に使おうとすると使いにくい
というわけでPERとPBRについて説明したわけですが、実際使おうとするとPERってメチャメチャ使いにくいんです。というのも
・当期純利益が大きく動くため、予想値を使うべきか今の値を使うべきか、どの当期純利益を使うべきかが難しい
・当期純利益がマイナスになったらあまり役に立たない
・とにかくこの指標自体の変動が大きい
一応、全株式投資家のバイブル、会社四季報にもPERやPBRについては載っているわけですが
慣れるまではPBRが1未満かどうかで判断する方が無難かなと思います。
※会社四季報っていうのは、下のようなやつで、企業情報についてまとまった雑誌です。
中級者は画一的な指標は使うべきではない
ここまで、初心者であればを頼りに、有望な銘柄を探すべきだという話をしてきましたが、これには落とし穴があります。
株価の動きに関する一種の法則として、
「市場参加者の1部は、経営状態を先取りする」
というものがあります。
どういうことかというと、ある企業Aの経営が悪化するという情報をある年の決算日に報告するとします。
普通に情報を仕入れている一般投資家は、決算日の報告とともに経営悪化の情報を得ることになり、そこから
「この株は売っておかないとマズイ」
と売り始めることになりますが、何故か傾向として、決算日前から売りが増えだすことが多いんです。その結果、情報が未発表であるにもかかわらず、株価が少しずつ下がることになります。
これを「市場の先見性」とか呼んだりするわけです。
よく言われる理由として、プロの投資家は目利きが多いため、経営が悪化しているかどうかを事前に察知し早めの行動を行っていて、その結果が株価として反映されているからというお話があります。
正直、インサイダーやら、私的な情報のやり取りやらが横行してる結果でしかないだろうと思ってしまいますが
とにかく、株価は、公的な情報よりも先に動くのです。
そのため、いくらとはいっても、将来の業績悪化が見込まれて、低いまま放置されている可能性があるわけです。
だから、中級者はであっても、すぐに飛びつくべきではなく、一旦IR資料等を参考にして立ち止まって考えるべきなのです。
は悪いことなのか
また、の株は買うべきではないかと言われるとそうとも限りません。
要はこれからどんどん成長していく、成長株であれば、現在のPBRがであっても、どんどん資産を増やしていくケースが多々ありますし、画一的な指標ではなく、様々な指標から総合的に判断すべきであると言うことに注意しておいてください。
次回もまた、ファンダメンタル分析について記事を書いていこうと思います。