バナナでもわかる話

開設当初は計量経済学・統計学が専門の大学院生でした。今はデータを扱うお仕事をしています。統計学・経済学・投資理論・マーケティング等々に関する勉強・解説ブログ。ときどき趣味も。極力数式は使わずイメージで説明出来るよう心掛けていますが、時々暴走します。

文系大学生が数学をやってないっていうのは主語がデカすぎだと思う

文系大学生も数学をやれとのお達しが来たって記事が流れてきました。
www.nikkei.com

当然数学をやれとのお達しの背後には「文系大学生、数学やってないでしょ?」って発想があるんだと思うのですが、正直少なくとも私の周りを見る限り、文系大学生は数学をやっていると思うんだけど....と思ってしまうし、恐らく他大学もある程度のレベルの大学であれば数学をやっていると思う。しかも、ビジネスの現場で統計を使うからって話を理由に持ってくる以上、そこそこ高学歴な人材に対して数学的な素養を期待しての言説だと思うのだけど、その辺の人材は多分(私の体感としては)数学をやっていると思うんですよね。

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私は経済学研究科ですが、そもそも学部1年2年で基本的な解析学・線形代数・統計学の授業は受けるし、その後3,4年で習うミクロ経済学は当然、最適化や簡単な偏微分くらいはわかっていないとついていけないし、金融の話になればそこそこ厳密なレベルで確率論をやらねばいけなくなるし、大学院に進んでもう少し高度な経済学を学ぶにあたっては、ゴリゴリ集合論的な議論と向き合わねばならなくなるし、実証研究をするにあたっては必然統計は使うことになる。マクロ経済学は私自身はあまり詳しくないが、身近の友人が必要だからと微分方程式の勉強をしていたのも記憶に新しい。

最近では、ルベーグ積分勉強会をしようという話になり、メンバーもそこそこ集まっている。


いやいやそれは経済学部が特殊なだけでしょうと言う方もいるかもしれないが、

今からちょうど1年前に法学部の方歴史専攻の方ゲーム理論が必要になったから勉強会をやらないかとの誘いを受けて、約半年ほどで岡田章ゲーム理論新版を輪読した思い出もある。岡田ゲーム理論は、そこそこ高度な数学的議論が展開され、簡単な集合論、解析学の知識が無いと読み進めるのは難しい。

また、バイト先の後輩である法学部の方から、今決定理論や統計学についての講義があって、勉強をしているんだよねとの話を聞いたこともある。


そもそも、あなたの通っている大学が特殊なだけでは?という話も、恐らくそんなことなくて

高校時代の友人で私とは違う大学へ行った文系の友人からも、今授業で解析学やってて中々難しいだとか、最近必要になって最適化やっているんだよねだとかそういう話はよく聞くし、私の体感としては


「文系大学生が数学をやっていない.....?とは??」

なんて思ってしまう。


当然、最低限の数学の要件が「デデキントカットで実数を定義するところから始めましょう」だとか「統計学を使う前に確率論の議論からはじめて、可測かどうか考えましょうね」だとかそういったレベルを要求しているのであれば、「そうだね、文系大学生の数学の勉強は足りないね」なんて話にもなるような気がするけど、その辺のレベルは間違いなく実務サイドからは要求されないだろうし、最近の文系大学生のこと舐めすぎでは?と思ってしまいます。

意外と文系大学生で数学やっている人は多いはずだよって話でした。
まあ私の周りでの話ですが。