バナナでもわかる話

計量経済学・統計学が専門の大学院生です。統計学・経済学・投資理論・マーケティング等々に関する勉強・解説ブログ。ときどき趣味も。極力数式は使わずイメージで説明出来るよう心掛けていますが、時々暴走します。

数学・統計初心者から始めて計量経済学で中上級者になるためのオススメ本

前に書いた統計本紹介記事(下リンク参照)が、とても評判がよかったので、計量経済学も書いてみようかと思います。
www.bananarian.net

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目次

計量経済学とは?

多分経済学部以外の方だと「計量経済学って何?」って人もいるかと思います。そこで簡単に計量経済学の説明をしようと思います。余談ですが経済学部だと科目名が計量経済学ではなく、「エコノメトリックス」になってたりするので、「エコノメ」と略称で呼んでる人も居たりします。

計量経済学を語るには、簡単に経済学を説明しなければいけません。(あまり適当なことを書くと有識者の方々に怒られそうですが、)長々書いても読者が退場するので簡単に。

経済学は、基本的には人間の行動・営み、またそれに伴って生じた経済事象全般をモデルを通して理解・解釈し、場合によってはその後の変化や動き介入による効果を分析する学問です。

人間の行動・営みとは、例えばコンビニのチョコレートコーナーに行って、どのチョコレートを購入するか選ぶといったミクロな視点から、企業や政府が大規模なお金を動かすようなマクロの視点まで全て含みます。その後の変化・動き・介入とは例えば、じゃあチョコレートを値上げしたら今まで購入していた人がどれくらい購入を控えるのだろうかだとか、政府が税金を増やしたら経済効果はどの程度だろうかとかそういうものを指します。

そういったものをモデル(数式)から考えるわけですが、当然実際に出てくるデータはモデル通りにはなりません。
所詮人間の営みなので、分散が大きく、誤差も増えます。しかし、誤差はあれど、一定の法則性を見出すことが出来るのであれば、モデルとして利用する価値はありそうですよね。


そこで、経済学の中でも特に計量経済学という学問は主に次のような役割を持ちます。

① モデルの妥当性を評価するために計量方法を考える⇒それにあたり、モデルを確率的なモデルに拡張し、統計学を利用する
② ①とは逆のアプローチで、データから確率的な影響を考慮した上で法則性を見出し、それをモデルとして提案する


非研究者志望が計量経済学を学ぶメリット

で、それじゃあ計量経済学って経済学を研究する人しか使わないんじゃないの?勉強する意味あるの?と思われる方もいると思うので簡単に宣伝しておきます。

・文系対象の本が多い
結構数学わからないんでしょ?のスタンスで説明してくれる本があるので、数学を習熟していなくても計量経済学を学びながら適宜各種教科書を参照することで、勉強することが出来ます。ついでに数学・統計学力も増します。実際、私も計量経済学を通して、行列演算の有用性に気が付きました。

・経済学徒が取っつきやすく統計学を学べる、そして活かせる
経済学部出身者が、統計学を学ぼうとすると結構苦労するんです。急にパラメータ空間とか言い出して混乱するし、とっつきやすくてまともな本は洋書ばっかりだし、ゴリゴリ証明が入って、(初学者にとっては)結局何に役立つのかわかりにくくハードルも高かったりします。何より、いざ統計学を学んでも、で、経済モデルはどうやって計量すればいいの?といった場面で手が止まりがちです。

・普通の統計学的な知見+αの分析が出来るようになる
ここ、多少賛否あって、思考停止で計量経済学モデルが優れているんだと考えちゃう方には向かないかもしれませんが、例えばお仕事をするにあたって顧客データに対して統計分析を行うにしても、昨今の統計・機械学習ブームの結果、やれることが飽和しつつある状況にあります。そんな時に、ある程度妥当な仮定をもって計量経済学的な手法も提案できるようになれば、お仕事の幅が広がるかもしれません(そういったお仕事の現場では数学科・物理出身の方が多く、計量経済学的な考え方に反発する方も多数いらっしゃいます。彼らの発想も理解しつつ説得力のある提案が出来るとベストかと。)。

・純粋な統計学と比較してみるのも面白い
これはメリットというより面白さですが、統計学と計量経済学ですが、やってること、考え方が微妙に(大きく?)違います。両者の考え方を学ぶと、両者の良い所悪い所なんかが見えてきて、より両者の学びを深めることが出来たりもしますよ!


そんな計量経済学ですが、まあお察しの通り少々ハードルが高く、最低限、統計学・微積分・行列計算 が出来ないと何をやっているのかよくわかりません。そこで今回は、高校の数学ⅡBくらいまでなら学習したけど、それ以降の数学は全く知りませんという状態から、大学院修士レベルにたどり着くために必要な本と、勉強プロセスを紹介していこうと思います。
読者の方は自分のレベルに合わせて参考にしてみてください。


高校以降数学やった記憶がありませんという方

まずは、簡単に数学をやりましょう。本当に簡単な教科書で大丈夫です。

・穴埋め式 線形代数 らくらくワークブック

・やさしく学べる微分積分

・コアテキスト 統計学


この3冊、どれも数学よくわかりません、知りませんって人を対象にメチャメチャ簡単なところから説明を始めるので、かなり取っつきやすい3冊になっています。オススメです。ちなみにうちの大学(経済学部)の最初の数学の授業で使われているものです。


経済学をよく知らない人向け

計量経済学をやるのは良いけど、まず、経済学をよく知らないんだけどって人のために、メチャメチャ簡単な入門書を紹介しておきます。
経済学をガチでやる人はそれはそれで別に勉強すればいいので、とりあえずそうじゃない人向けにはこの辺りで問題ないかと。

・ミクロ経済学の力

・マンキュー経済学(マクロ編)

※当然マンキューはミクロ編もあります。
※読みやすさとしてはミクロ経済学の力の方が読みやすいかな~と思ったのでそっちを載せました。

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計量経済学の入門

はい、とりあえず計量経済学をやる前の準備としてはこれで完了です。
当然難易度の高い計量経済学を学ぶにあたっては、それ相応の事前勉強をしなければいけないのですが、とりあえず入門としてはこの辺で大丈夫かと。

・計量経済学の第一歩 実証分析のススメ

和書の入門書としては、私的には一番オススメです。計量経済学って何をやるの?どんなことを大事にしてるの?といったことを実践を通して学ぶことが出来ます。


・計量経済学

個人的にはあまり好きではないのですが、大学の教科書としてよく使われています。数式展開が丁寧に書かれていて、どういう計算をしているのかはとてもわかりやすく、文系向け!という気もするのですが、どういう目的で数式展開しているのかを読んでいて見失いがちになるので、個人的には△。人によっては合うかもしれません。


・Introductory Econometrics

個人的に、入門書として一番オススメなのはこれです。ただ、洋書なので英語がちょっと...って人はとっつきにくいかもしれません。
英語を読むのが苦にならないのであれば、この本が一番丁寧。しかもデータを取ってきて実践することも出来ます。かなり学べる一冊です。
ちょっとお高いのですが、これ1冊で何とかなると思えばそれほど高い買い物でもないかなとは思います。


ベイズ計量経済学入門

当然、ベイズ版の計量経済学もあります。
これについては断然次の本がお勧めです。

・ベイジアン計量経済学

割と初心者でもいけるかな?確率を使った議論が少々厄介なので、確率論の本を一冊事前にやっておけば難なく読めると思います。


中級の計量経済学本

先ほどの入門書が終われば、かなり数学力・計量経済学力共についてるかと思いますので、とっかかりとしては結構簡単に次の本が読めると思います。

・計量経済分析

後で貼るグリーン本の和書版です。元の洋書版だと基礎的な数学の説明を省いてますが、和書版だと数学わかんないでしょ?という想定で始めてくれるので、かなり取っつきやすいです。

ちなみに洋書だとこちら

全体的な読みやすさとしてはやはり、洋書の方が良いとは思います。日本語だと、結構説明を省いてる個所や、強引に訳した箇所があり、読みにくさがあります。



ちなみに、この本が経済学部の大学院の講義で使われる参考書になるので、この本で大体一般的な経済学部の大学院水準まで到達できます!
(当然、計量経済学専門の人としては足りない)


ここまでくればかなり計量経済学中級者と言えるかも!
後は各種トピックについてもう少し詳しく勉強するか~といった方向へ向かうので、もっとニッチに専門書をあさるなり、論文を読むなりすることが出来ます。

前回の統計学本紹介の時と比べるとかなり、短めに収まりましたね(私自身が、統計学の方で苦労した経験の方が多いため笑)


先ほど言ったことの繰り返しになりますが、計量経済学と、統計学を比べながら、両者にどのような考え方の違いがあるかを考えてみるのも勉強になって面白いですよ。

追記

オススメ本記事、他にも書いたので、お時間があればご覧ください!

ミクロ経済学のオススメ本
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統計学のオススメ本
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SQLのオススメ本
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