バナナでもわかる話

開設当初は計量経済学・統計学が専門の大学院生でした。今はデータを扱うお仕事をしています。統計学・経済学・投資理論・マーケティング等々に関する勉強・解説ブログ。ときどき趣味も。極力数式は使わずイメージで説明出来るよう心掛けていますが、時々暴走します。

果たして経済学者は無能なのか?

 

こんにちは。最近統計学・投資記事の更新が滞ってしまって、読者の方に申し訳ない限りです。あと3日ほどで東京遠征(?)から帰ってくるのでそうしたら平常運転していきますね。

 

というわけで今回も軽めの記事を書こうと思うのですが、題材は

 

「果たして経済学者は無能なのか?」

 

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経済学者無能説

昨日電車でサラリーマン風の男性二人が

 

「経済学者とかいうのは本当にポンコツだ。あいつらの行う経済予測は、まるでアテにならないし、彼らに従っても全く景気は改善しない。」

 

なんて話をしていまして、経済学部の端くれである僕は、まだまだ勉強足らずで本当にポンコツなわけですが、それでも経済理論・実証研究や、経済学者の方々には良い印象を持っていて、反論したくてしょうがなくなったわけです。

 

そこでちょっと記事にしておこうと思います。

 

 

 

 

そもそも予測とは何か

あくまで私の考えですが、予測未来予知を一緒くたにするべきではないと思います。

これは経済理論に限らず、例えば地震予測や統計学の分野でもそうだとは思いますが、

私が考える予測は

 

不確実な未来に対して、適当な意味合いで尤もらしい方法を選択する指針

 

であると考えます。

 

どういうことかというと、未来は結局何が起こるか分からない、つまりリスク(分散)が大きい状況であるという前提のもとで、確率的にマシな選択を取るための指針を探そうというのが私の考える予測です。

 

つまり、もしかしたらとても低い確率で起こるかもしれない大災害や、大恐慌の起こる確率を限りなくゼロにする方法を模索するわけではなく、平常状態であれば平均的に

マシな方法を模索しようというわけです。

 

 

一方で私の考える未来予知は、

 

未来に起こる数々の事象がほぼ確定的にわかるため、事前に策を講じて最悪の状況を確率1で回避することのできる能力

 

であり、こちらの未来予知は中国やインドの秘境に潜んでいそうな仙人やら何やらに任せておけばいいわけで、経済学や統計学等の仕事ではないと私は思います。

 

 

 

しかし景気は良くならない

一方で、このような批判もあるかと思います。

 

「未来予知が出来ないことはわかったが、国民が暮らしやすい経済環境、つまり景気や雇用が安定している状況さえ作れていないではないか」

 

確かに一回不況に陥ってしまえば中々脱することは出来ないし、あちらを立てればこちらが立たないという経済環境であることには違いないと思うわけですが、これについても私は、

 

批判すべきは果たして経済学者なのか??

 

と一旦立ち止まって考えていただきたいのです。

 

私が知る限りでの経済学者の仕事は次の通りです。

 

・経済理論・実証を通して経済に関する分析を行う

・大学や書籍にて経済学的な考え方の普及につとめる

・経済理論を元に、政治家に対して提案を行う

 

 

経済学者は経済に関する分析を行い、非経済学者に働きかけを行うだけで、国民の経済動向を握っているのは経済学者ではなくないですか??

 

何が言いたいかというと、例えば国民のためを第一に考えた政策提案を経済学者が政治家に行ったとして、その政策提案が政治家にとって得の無いものであれば結局採用されないわけで、全てを握っているのは政治家なのでは?と思うわけです。

 

実際のところどうなっているかは、社会経験に乏しい私からはわかりませんが、そのような仕組みである以上、

 

 

政策提案を行う経済学者は政治家に重用された者のみのはずで、重用されるということは、政治家にとって得な提案を出来るから重用されているはずで、ということは、政治家を介している以上、政治家にとって得な提案の集合の中から、政策提案がなされるはずなので、真に国民のためを考えた政策は提案されるわけがないではないか

 

と言いたいわけです。

 

「いやいや、国民のためを考えた政策でないと民主主義である以上、以降その政策提案を行った政治家は選挙に当選しなくなるわけだから、そんなことはしないだろう。」

 

という意見もあるかもしれませんが、経済学に精通している国民がほぼいない昨今において、適切な政策提案ではないと批判的に見ることのできる国民は果たして多数派でしょうか。

 

私は少なくともこと日本において、そんな目利きは多くないと思います。

 

特に、不確実性が多い経済状況で、例えば次の選挙に勝つために、

 

「一時的には爆発的に景気回復するけど、長期的に見ると国民経済にとって不利益となるような政策を打とう」

 

なんてことを考えることも出来るわけです。

 

そうすると、一時的に爆発的に景気回復したという短期の実績をもって、その政治家は国民に囃し立てられて次も当選します。長期的に見ると国民のことを全く考えていない政策をとったはずなのにです。

 

 

まとめ

以上、何が言いたいかというと、経済学者の仕事はあくまで分析と提案であって、その分析が実際の経済に活かされるかどうかは、現状の仕組みでは分からないと言わざるを得ないのでは?ということと、経済学者の行う分析は予知ではなく予測なので、マシな提案を行うにすぎないのでは?ということです。

 

ここで、それならば経済学者なんていらないじゃん。という意見は軽率かなと思います。

 

現状の経済がこの程度で収まっているのは、経済学者が現状できうる限りの最もマシな提案をしているからかもしれないわけです。