前回までで不変分布はMCMCでどう役に立っているのかををざっと確認しました。
bananarian.hatenablog.com
今回は今までスルーしていた結局どういう条件の下で収束しているのかについてやります。
本当に収束の話を理解するためには、前にやったカップリングや混合時間に関する話も交えねばならないのですが、その辺は話がゴチャゴチャするので省略します。
カップリングの記事
bananarian.hatenablog.com
混合時間の記事
bananarian.hatenablog.com
不変分布復習
確率行列について
が成り立つようなを不変分布と呼び、
PはΠ-不変であると言う。
既約性
まず、収束するための条件として、どの状態からでも有限回のステップで他のどの状態にでもいけるという性質を持つ必要があります。これを既約性と呼びます。
例えば下の例は既約性を持ちます。
一方で下のような例では既約性を持ちません。
状態2から状態1にはいけますが、状態1から状態2にはいけませんね。
非周期性
元の状態に戻るために必要なステップ数の最大公約数を周期と呼び、全ての状態での周期が1であるようなマルコフ連鎖は非周期性を持つと言います。
例えばこの行列の例だと
状態1から状態1へはステップ数1でも2でも3でも....戻ることが出来ます。つまり、最大公約数は1です。
状態2も同様で最大公約数が1なので非周期です。
また
では、状態1から状態1へはステップ数2,3,4,....で戻ることが出来るので最大公約数は1,
状態2から状態2も最大公約数が1でこの行列も非周期です。
一方
これは周期的です。
状態1から状態1へはステップ数2,4,6,...で戻ることが出来るので最大公約数は2になります。
また、状態2から状態2へも同様に最大公約数が2になります。
よってこれは周期的です。
収束条件
そして、次のような話が成り立ちます。
既約かつ非周期なマルコフ連鎖は不変分布に収束する。