バナナでもわかる話

開設当初は計量経済学・統計学が専門の大学院生でした。今はデータを扱うお仕事をしています。統計学・経済学・投資理論・マーケティング等々に関する勉強・解説ブログ。ときどき趣味も。極力数式は使わずイメージで説明出来るよう心掛けていますが、時々暴走します。

受験で数学が苦手だった人は別に数学が苦手なわけではない

周りの声や、自分自身の経験から思うことなのですが、

受験数学が解ける力と数学力って近いようで近くないと思えるんです。


私自身は、一応難関大と言われる大学に所属する文系にあたり、センター試験の数学やら二次試験の数学やらを乗り越えて、その後独学で数学について自分の興味に従って本をあさり、その結果今に至るわけですが、


ぶっちゃけ高校時代の数学の勉強(典型的な試験勉強)で、大学数学に活きているものって基本的な計算方法が主で、9割方は関係なかったなという印象です。


どういうことか順を追って説明していきます。



大学受験の数学のよくある勉強法

よく言われる一般的な数学の勉強法は次の通りです。


①とりあえず受験で必要な定理やら公式やら必要なものを覚える(証明してみる等)
②覚えたものを使えるようになるために演習を積む


①は良いんです。基本的な定理や公式が思い浮かぶことは重要ですし、私は塾講師のバイトのしていますので、理系の学生には必ず使っている道具の証明まで要求します。


証明を行うことで覚えることが格段に減りますし、大学数学を学ぶ際にもこの習慣は重要になってくるからです。まあただ、当然受験生の中には暗記をするのがすこぶる得意で、しかも極力数学なんぞ触りたくないという人も当然いるので、この段階で証明を飛ばして覚えるという戦略もかまわないとは思います。


で、私としては②が問題だと思っていて、というのも、色々覚えたものを試してみようみたいな感じで演習を利用するのであれば良いと思うのですが、



やはり、どういう方法で勉強を始めたらよいか分からない以上、定番の問題集を使っていくわけです。

そしてそうなると、みんな揃ってチャート式をやるわけです。


実際私もチャート式を使っていて、確かにあの通りに従って勉強を重ねれば受験数学の点を取るという目標は達成できると思います。




しかし、問題なのは、受験でしか役に立たない謎のテクニックや、時間制限をクリアするためだけの無駄な公式暗記などが膨大に増えるため、そのテクニック習得や暗記作業を苦痛に覚える学生は数学を嫌いになってしまうという点です。



別に細かいテクニックや公式の暗記等々は、試験の限られた時間を有効に使うためだけに行うものであって、こと数学を学ぶ上では必要がないと思います。

そして、教科書に載っているような道具の証明を終えて、内容を理解するだけであれば、受験数学の勉強は多くの時間を必要としません。
故に一般的な勉強方法で、受験数学を学ぼうと思った場合、どうしても②の部分が多くなります。

その結果、本来の数学とは乖離した受験テクニックを頭に刷り込ませることが数学の本来の勉強法だと勘違いしている人が多いようです。




文系でも大学数学は学べる

そのため、受験勉強の時点で数学を嫌いだと思ってしまった人や、苦手意識を持ってしまった人ほど大学数学をじっくり学んでほしいのです。

もしかしたら数学が苦手だとか数学の勉強が嫌いだという人の中には、受験テクニックの勉強が苦手だったり嫌いだったりするだけかもしれないわけです。


※まあ、大学数学というくくりで数学を語るのも微妙ですが、とりあえず高校数学と区別する意味で使っています。




実際の数学は受験の数学とは違い、制限時間なんてものはないし、ノルマのようなものもありません。
自分のペースで、自分の理解度に合わせて勉強を進めていくことが出来るのです。



なんなら、1日勉強して、本の半ページも進まなかったなんてことも、ざらにあります。


しかし、それでいいのです

ゆっくりゆっくり一冊の本を読み進めていって、場合によっては2年も3年もかかって1冊を読み終える、そんなことがあっても良いわけです。



いやいや、そうはいっても理系の前提知識(数Ⅲ)が必要になるはずだし、文系が数学を学ぶなんて無理でしょう?



と思うかもしれませんが、最近は本が充実しているので全然初心者で大丈夫だったり、前提知識を必要としない本もいっぱいあります。そういう本から導入していけばいいわけです。




自分のペースに合わせて勉強できる、これが趣味で勉強をすることの魅力です。




私が初めて学ぶにあたって読んだ本

せっかくなので、私が、数学の勉強をするにあたって導入に利用した本を分野ごとに紹介していきます。

ただ、学ぶとはいっても、各分野の学ぶ意義や目的を理解しないと、勉強も長続きしません。そこで、導入のために使った参考書と、意義や目的を理解できる本を紹介していきます。


また、一応分野ごとに紹介していきますが、大抵はどこの分野から勉強を始めても問題ありません。
やりたいことや学びたいものに合わせて好きなように学べばよいわけです。


集合と位相

数学の根本を司る概念です。受験数学では、集合と論理の分野で集合という言葉が出てきましたね。


まず、集合と位相を学ぶ理由を学べる本
・集合と位相を何故学ぶのか



・集合・位相入門

この本は、正確には私が高校3年生の時に、受験勉強が嫌になって読んでいた本です。そのため、本当に高校レベルで読める本ですし、前提知識も必要としません。数Ⅰを知らなくても大丈夫です。その割に集合位相についてかなりしっかり学べる本です。



解析学

解析でイメージが沸かない人は、一旦微分積分のことだと思っておけば良いと思います。
「えー、微分積分って嫌いだったんだよねー」って人も大丈夫です。受験数学って、テクニックばかりで目的意識がないんですよね。

どういう場面で使えて、どんなことが出来て、そんなことがわかってくればもう少し面白く学べると思います。


・マンガ「解析学」超入門

マンガってバカにされがちですが、導入には漫画って結構いいなあと思います。イメージをつけてからしっかりした本を読めばいいわけです。


数学ガール 微分 積分


数学ガールシリーズは本当にオススメです。中学生でも理解できるレベルで、各数学の分野のイメージや応用の仕方、役に立つ場面を説明してくれます。



・やさしく学べる微分積分

これはうちの大学の入門授業の指定教科書です。実際にかなりわかりやすかったので紹介しておきます。前提知識は数学Ⅰくらいですかね。


・解析概論

この本は、しっかり導入したい人向けですね。初級者は手を出さない方がいいかもしれませんが、昔から使い古されている定番書です。


確率論・統計

これは前の記事で紹介したのでこちらをご覧ください。
bananarian.hatenablog.com


線形代数

イメージが沸かない人は、とりあえずベクトルや行列だと思ってください。


数学ガール 行列

行列って何なの?どんな役に立つの?ということを中学生でもわかるように説明しています。すごくイメージがわきます。オススメです!




・穴埋め式 線形代数 らくらくワークブック

これもうちの大学の入門授業で使っていたやつです。この本についても前提知識をほぼ必要とせず、行列計算やベクトルの概念を仕組みから理解することが出来ます。






以上でした。苦手意識を持っている人こそ、数学をはじめてみるというのはどうでしょう。結構面白いものですよ。