前回の記事で、株式投資とは何かという説明を簡単にしました。
bananarian.hatenablog.com
そこで今回は投資を評価するためのキホンのキである投資のリターンについて説明していこうと思います。
具体例
△月t日に今私たちは投資を行おうとしています。試しに10万円分の株を購入したことにしましょう。この株はt日に購入したわけなので、区別するためにと名付けておきます。
この株が翌日の△月(t+1)日になんと11万円になっていました。とりあえず1万円儲かるし売ってしまおうかな?といったことを考えると思います。この翌日の株をと呼ぶことにしましょう。
この時、単純な儲けはとなるわけですが、それだけでなく投資額に対してどれくらい儲かったかを知りたい時があります。
どういうことかというと、例えば1000億円持っている人にとって1万円は僅かな額に思えます。しかし、10万円しか持っていない人にとっての1万円は、前者よりも相対的に価値が高いと思いませんか?
つまり、同じ1万円であっても、元手(いくら投資したか)がいくらかで価値が変わってくるんです。
そう考えると1万円を1万円のまま考えるのはまずそうです。元手を使って調整する必要があります!
この考え方を用いて投資の利益を考えようとするのが投資のリターンになります。具体的には次のように計算します。
この時、単純な儲けは
ですが、元手(最初に支払った額)が10万円なので、それを使って次のように調整します。
これがリターンです。つまり今回の投資のリターンは
つまり10%となります。
一般化してみる
先ほど名付けたを株価だと思って、今の話を少し一般化してみます。
利益はt+1時点で売った時に得られた額と投資した時点での額の差になるので
それを買った時の価格で調整してやればリターンが出てくるので
例
投資した時点での価格が105万円、売却時の価格が110万円だったとします。配当等は無いものとして、この時のリターンはいくらになるでしょうか。
よってリターンはおよそ4.8%ということになります。
リターンを考えることで何が嬉しいか
で、このリターンですが、「そういう風に計算できることはわかったけど、これが出せたから何??」と思う人もいると思います。
株式投資を行うにあたって、元手を使ってどの企業の株式を購入するべきかを考えることになるわけですが、投資の鉄則として1種類の株式に全額投入するべきではありません。普通は複数の企業に対して投資を行います。これを分散投資と呼びます。
何故、分散投資を行う必要があるかというと、例えば次の例を考えてみてください。
例えば来年、オリンピックによって外国からの観光客が増え、東京周辺のホテルビジネスが大繁盛すると考えたとしましょう。そうするとホテル業界の株価が上がると予想できるので、ホテルを運営している会社に投資を行います。しかし、何やら来年のオリンピック、準備不足であまり魅力的ではない大会になる恐れも十分にあります。前評判が非常に悪く、あまり外国人観光客が集まらなかったら、先ほどの予想はご破算です。むしろ期待によって本来の価値以上に上がっていたホテル業界の株価は下がるかもしれません。そんな時、持ち金全部ホテルに投資しているとまずいですよね?
そこで、オリンピックが振るわなかったとしても上がる株にも投資しておきます。
例えば建築業界です。オリンピックに向けて施設やアミューズメントパークの建築を請け負う建築業界は、オリンピックが振るうか振るわないかに関わらず事前に依頼を受けるため、業績は上がります。その結果、ホテル業界で株価が下がったとしても建築業界の株式の上昇分で相殺できるし、ホテル業界の株価が上がったとしたら、めでたく儲けを得ることが出来ます(※1)。
話が長くなりましたが、何が言いたいかというと、各企業の株式の価値を考えるだけでは不十分で、各企業の株式の組み合わせを評価して、リスクが小さい投資方法で投資をすることが望ましいということになります。
この各企業の株式の組み合わせをポートフォリオと呼んだりします。
このポートフォリオを評価するためには、結局元手に対して得られる儲け、つまりリターンがどうなるかを考える必要があるわけです。
次回はポートフォリオのリターンの考え方について書こうと思います。
※1
ここで、それならばホテル業界に投資せず、建築業界に全投資すれば良いじゃないかという文句もあると思います。ここでは一旦具体例ということで、建築業界は安定しているが儲けも少ない、ホテル業界はリスクもあるが当たると儲けが大きいと仮定してください。建築業界に全投資するとリスクは少ないけど儲けも小さくなってしまいます。そこで、多少のリスクは受け入れつつホテル業界にも投資しようといった判断をしているわけです。